2 そこで三千の兵をよりすぐり、野生の山羊のたむろするエエリムの岩のあたりで、ダビデを捜し回ったのです。
3 羊の群れの囲いに沿った道まで来た時、王は用を足そうと、とあるほら穴へ入って行きました。 ところが、驚くなかれ、そのほら穴こそ、ダビデとその手下の隠れ家だったのです。
4 手下の者は、「絶好のチャンスです! 神様は、『わたしはサウルをおまえの手に渡す。 思いどおりにせよ』とおっしゃったではありませんか。 いよいよ、その時がきたのです」とささやきました。そこでダビデは、はうように進み、王の上着のすそを、そっと切り取りました。
5 ところが、そのことで彼の良心は痛みだしたのです。
6 「ああ、なんてことをしてしまったんだ。 とにもかくにも、神様が王としてお選びになった人に手を下すなんて、大それたことではないか。」
7-8 このダビデのことばには、皆にサウル殺害を思いとどまらせるに十分な説得力がありました。王がほら穴から立ち去ると、ダビデも背後からついて行き、「陛下!」と大声で呼びかけました。 王が振り向くと、目の前で、ダビデが地にひれ伏しているではありませんか。
9-10 「陛下はなぜ、私が謀反を企てている、などという人のことばに耳をお貸しになるのですか。 たった今、それが根も葉もないことだとおわかりになったはずです。 先ほどのほら穴の中で、神様は、陛下が私に背を見せるようにしてくださったのです。 配下の者は、陛下のお命をちょうだいするようにと勧めました。 しかし私は、それをさえぎったのです。 『陛下に危害を加えてはならない。 この方は、神様がお選びになった王なのだから』と。