ルカによる福音書 16:3-9 JLB

3  計理士は、はたと考え込みました。 『さて、どうしたものか。 首になるのは時間の問題だ。 日雇いをやるほどの力もないし、かといって、まさかこじきをするってわけにも……、だめだ、とてもプライドが許さない……。 

4 待てよ。 そうだ、こうしよう。 これなら、首になっても大丈夫。 みんなが面倒を見てくれることまちがいなしだ。』

5  どうしたかと言うと、彼は雇い主からお金を借りている人を一人一人呼び出して、話し合ったのです。 まず、最初の人とはこんなぐあいに。 『主人にいくら借りがありますか。』 

6 『オリーブ油三千五百リットルです。』『そうですか。 えーと、これが証文ですね。 さあ破って、破って。 代わりに、その半分を借りたという証文を書くんですよ。』

7  次の人にも同じように。 『あなたの借りはどのくらいですか。』『小麦三十トンです。』『いいでしょう。 これが証文……。 じゃあ、新しく二十五トンの証文を書いてください。 これと取り替えてあげるから。』

8  この抜け目のなさには、さすがの金持ちも舌を巻き、うまいやり方だ、とほめないわけには、いきませんでした。 確かに、この世の人々のほうが、神を信じる者たちよりずっと抜け目がないのです。 

9 不正の富を利用してでも、親しい友達をつくりなさい。 そうしておけば、富がなくなった時、親切にしてやった人たちが、永遠の天の住まいに迎え入れてくれるでしょう。