5 男は何かもらえるのだろうと思って、二人を見上げました。
6 ところが、ペテロは全く意外なことを言ったのです。 「あげようにも、お金は持っていないんだよ。 だが、ほかのものをあげよう。 ナザレのイエス・キリストの名によって命じる。 さあ、立って歩きなさい。」
7-8 そう言うなり、ペテロは手をかして立たせようとしました。 すると、驚いたことに、足もくるぶしもたちまち強くなり、しゃんと立ち上がったのです。 そして、すたすた歩き始めました。 二人が宮に入ると、男も跳んだりはねたりして、神を賛美しながらついて行きます。
9 中にいた人たちは、神を賛美しながら歩いている男を、じろじろながめました。 どうしたことでしょう。
10 いつも「美しの門」で見かける、足の悪いこじきではありませんか。 だれもかれもびっくり仰天、たまげ返るばかりです。
11 そうこうするうち、みんながいっせいに、三人のいる「ソロモンの廊」と呼ばれる回廊に押し寄せました。 男はうれしくてたまらないのでしょう。 ペテロとヨハネにまつわりついて離れません。 この有様を目のあたりにした人々は、あまりのことに恐ろしくなったほどです。
12 さあ、絶好のチャンスです。 ペテロがすかさず話し始めました。「皆さん。 どうして、そんなに驚くのです? なぜ、私たちが自分の力や信仰深さによって、この人を歩かせたかのように、私たちを見つめるのです?