1 ニネベよ。 おまえの終わりが来た。 もうすでに敵に囲まれている。 警鐘を鳴らせ。 城壁に人を配置し、守りを固め、全力を尽くして敵の侵入を見張れ。
2 神様の国民の地は、おまえの攻撃で破壊され、めちゃめちゃにされてしまった。 だが、神様は、彼らの誉れと力とを回復してくださる。
3 盾は太陽の光を受け、真っ赤に輝いている。 さあ、攻撃開始だ。 その緋色の軍服を見よ。 きらきら輝く戦車が横に並んで進んで来る。
4 おまえの戦車は、たいまつのような光を放ちながら、やみくもに通りを突っ走り、狂ったように広場を走り抜ける。
5 王は家来を呼び集める。 彼らはあわてふためいてつまずきながら、防御柵を設けようと、城壁に向かって走る。
6 だが、時すでに遅し。 水門は破られた。 ぞくぞくと敵が進入して来る。 宮殿はまさに上を下への大騒ぎだ。
7 ニネベの女王は通りに引き出され、奴隷として連れ去られる。泣き悲しむ侍女たちもいっしょだ。 聞け、彼女たちが鳩のように泣く声と、悲しんで胸を打ちたたく音を。
8 ニネベは水のもる水槽のようだ。 だれもかれも町を見捨てて、こっそり逃げ出す。 呼び戻すことはできない。 「止まれ。 戻れ」と叫んでも、振り向こうともせず、走って行く。
9 「それ、銀を奪え! 金もだ! 財宝はいくらでもあるぞ!」山のような富も、無残にはぎ取られてしまう。
10 間もなく、ニネベの町は殺風景な修羅場と化す。 心は恐怖におののき、ひざの震えは止まらない。 人々はあっけにとられて立ちすくみ、真っ青になって震えている。
11 諸国の間でライオンのように振る舞い、闘志と大胆さをみなぎらせていた町、年老いて弱くなった者も、いたいけな子供も、不安なく暮らしていた町、あの偉大なニネベは、今、どこにあるのか。
12 ニネベよ、かつての勇猛なライオンよ。 おまえは妻子に食べさせるために、多くの敵を踏みつぶし、町と家を分捕り物や奴隷でいっぱいにした。
13 しかし、今、天の軍勢の主がおまえに立ち向かう。 おまえの武器は破壊され、戦車は使われないままひっそりと放置される。 りっぱな若者も死体となって横たわる。 もう、他国を征服して、奴隷を連れて来ることもない。 おまえは、二度と地上を支配できないのだ。