1 さて、ボアズはさっそく広場に出かけ、目ざす相手を見つけました。「すみません。 ちょっと折り入ってお話ししたいことがあるんですが、いいですか。」二人は並んで腰をおろしました。
2 それからボアズは、町の指導者十人を招き、証人になってくれるように頼みました。
3 万事てはずが整うと、ボアズは話を切り出しました。 「モアブから帰って来たナオミのことは、ご存じですな。 実は、あの人がわしらの身内のエリメレクの畑を売りたいと言っている。
4 そのことをお耳に入れるべきだと思ったんでね。 ここに証人の方々もおられることだし……、よかったら、買ってください。 いかがです? はっきりしたお返事がいただきたいですな。 もしおいやなら、わしが買いましょう。 一番にそれを買い取る権利は、あなたにあるんですからな。 わしはその次というわけです。」「いいだろう。 買うことにしよう。」
5 「ところで、ナオミから畑を買い取るとすると、ルツをも妻に迎えてもらわなければなりません。 ルツは子供をもうけ、その地を相続させて、亡き夫の名を残さなければなりませんからな。」
6 「そんなことなら、おりるよ。 生まれてくる子にまで財産を分けてやるなんて、そりゃ困る。 あんたが買ってくれ。」
7 当時イスラエルでは、人が買い戻しの権利を譲る時は、くつを脱いで相手に渡す習慣がありました。 こうして、すべての取り引きが公認されるわけです。
8 その人はボアズに「あんたに譲るよ」と言って、くつを脱ぎました。
9 ボアズは、同席の証人や取り巻きの人々に向かって言いました。「では皆さん。 きょう、私がナオミから、エリメレクおよびキルヨンやマフロンの全財産を買い取ったことを、お認めいただけますな。
10 また、マフロンの未亡人でモアブ人のルツをも、妻として譲り受けることになります。 ルツの産む子供は亡くなった夫の家名を継ぐことができるのです。 このことの証人になっていただけますな。」
11 すると、その場に居合わせた人々は、証人とともに答えました。「喜んで証人となりましょう。 どうか神様が、あなたが迎えなさる婦人に、イスラエル国民の母ラケルとレアのように、子供を大ぜいお授けくださるように。 またあなたも、ベツレヘムで大いに栄えなさるように。
12 その昔、神様はわれらの先祖ペレツを、タマルをとおしてユダにお与えくださいました。 同じように、あなたもこの若い婦人をとおして子供を授かり、末長く繁栄されますように。」
13 こうしてボアズはルツと結婚し、まもなく彼女は男の子を授かりました。
14 女たちはナオミに言いました。 「よかったわね。 神様がこんなにかわいいお孫さんを授けてくださるなんて。 きっと有名におなりだわ。 将来が楽しみね。
15 おかげで、あんたは若返り、老後の心配もありゃしない。 なにしろ、あんなに母親思いのお嫁さんから生まれた子供なんだもの。 全くあの女には、息子が七人そろってもかなわないわよ。」
16-17 ナオミはその赤ん坊を手塩にかけて育てました。 近所の女たちは、「ご覧なさいよ。 あのナオミさんに、また男の子が授かったんですってよ」と口々に言いました。皆はその子にオベデという名をつけました。 オベデはエッサイの父で、ダビデ王の祖父となった人です。
18-22 先祖ペレツから始まるボアズの家系は次のとおりです。ペレツ、ヘツロン、ラム、アミナダブ、ナフションサルモン、ボアズ、オベデ、エッサイ、ダビデ