8 さて、王のお布令が出ると、エステルもほかの大ぜいの娘とともに、シュシャンの王宮内の後宮に連れて来られました。
9 ところが、後宮を管理していたヘガイが、特にエステルを気に入り、彼女のためには何でもしてくれるのでした。 特別の食事や化粧用の品々など、何かにつけて便宜をはかってくれます。 わざわざ王宮の侍女を七人呼んで身の回りの世話をさせるやら、後宮一の部屋をあてがうやら、それはもう大そうなものでした。
10 エステルは自分がユダヤ人であることを、だれにも黙っていました。 モルデカイに堅く口止めされていたからです。
11 モルデカイは毎日、後宮の庭に来てエステルの安否を尋ね、これから先の成り行きを見届けようとしていました。
12-14 選ばれた娘たちについては、こういう取り決めがありました。王の寝所に召される前に、没薬の油で六か月、ついで特製の香水と香油で六か月、それぞれ美しさにみがきをかける期間が約束されていたのです。 それも終わり、いざ王のもとへ召される時がくると、精いっぱい美しくよそおうため、衣装でも宝石でも願いどおりの物が与えられます。 こうして夕刻、王の部屋へ行き、翌朝には、王の奥方たちの住む別の後宮へ移るのです。 そこではまた、シャアシュガズという別の役人の管理のもとで、一生を送ることになります。 そこにいる婦人は、特別王に気に入られ、指名されないかぎり、二度と王のそばへ行くことはできません。
15 さて、いよいよエステルが王のもとへ行く番になりました。 彼女は、例のヘガイに見立ててもらった衣装を身につけました。 その姿の美しさには、ほかの娘たちもいっせいに歓声をあげるほどでした。
16 こうしてエステルは、王の治世の第七年の一月に召し入れられたのです。