1 このころ、暴利をむさぼっている金持ちに対して、子供をかかえた者から、激しい抗議の声があがりました。
2-4 事の起こりは、食べるにも事欠く家で、金持ちに子供を売ったり、畑やぶどう園や家を抵当に入れたりする事態が、発生したことです。 それさえできず、税金を払うために、限度いっぱいの借金をしてしまった人もいました。
5 「わしらはみな兄弟同士じゃないか。 子供だって、どこの家の子も同じだ。 それなのに、生きていくために、子供を奴隷に売らなくてはならないなんて! 売った娘を買い戻す金もない。 畑も何も、抵当に取られてしまった。」
6 この抗議を聞いて、私は非常な憤りを感じました。
7 何とかしなければなりません。 しばらく考えたのち、裕福な官僚たちをきびしく責めることにしました。「いったい君たちのやってることは何だね。 人助けという名目で、抵当を取って金を貸すとは、よくもできたものだ。」それから、彼らの処分をめぐって公の裁判を開いたのです。
8 その法廷で、私は彼らを告発しました。 「私たちはみな、遠い国での奴隷生活から引き揚げて来た者たちを援助しようと、できるだけのことをしてきた。 それにもかかわらず、おまえたちは無理やり、彼らを奴隷に戻そうとしている。 いったい何度、私たちに買い戻せというのか。」彼らには、ひと言も返すことばがありませんでした。
9 私は続けました。 「君たちのしていることは、非常に恐ろしいことだ。 いったい、神様を恐れる気持ちがあるのか。 回りには、すきを窺う敵がうごめいている。
10 ほかの者はだれも、同胞のユダヤ人には、利子も取らずに金や穀物を貸してやっているんだぞ。 こんな高利貸しみたいなまねはやめてくれ。
11 畑、ぶどう園、オリーブ園、家をみな返し、証文を破ってやってくれ。」
12 彼らはうなずき、土地を抵当に取ったり、子供を売らせたりしないで同胞を助ける、と約束しました。 そこで、祭司たちを召集し、正式に誓わせました。
13 違反者には神様からのろいが下るように、とも祈りました。「もしこの誓いを破ったら、神様が君たちの家と暮らしをめちゃめちゃにされるように。」国民は全員「アーメン」と叫んで、神様を賛美しました。 金持ちは誓いを実行に移しました。
14 ついでながら、ここで言っておきたいのですが、アルタシャスタ王の治世の第二十年から三十二年までの十二年間、ユダの知事を務めた私は、その間、副官ともども、イスラエル人からは、一銭も給料や援助を受け取りませんでした。
15 これは、前任の知事が食糧とぶどう酒、一日三万円の手当を要求し、家来たちもやりたい放題、住民を虐待したのとは対照的です。 神様を恐れる私は、そんなことはしませんでした。
16 ひたすら城壁工事に励んだのであって、土地の投機に手を出すなど、ありえないことでした。 家来にも、工事に専念するよう命じました。
17 その上、百五十人のユダヤ人の役人の食いぶちは、私がまかない、ほかに、外国からの客のもてなしもしていたのです。
18 一日につき、雄牛一頭、肥えた羊六頭、おびただしい鶏が必要で、十日ごとに種々のぶどう酒も整えました。 にもかかわらず、新たに課税したりはしませんでした。 そうでなくとも、国民の生活は苦しかったからです。
19 神様、この国民に対する私の態度をおこころに留め、祝福してください。