サムエル記下 19:2-8-10 JLB

2 王が息子のために嘆き悲しんでいると知って、その日の勝利の喜びはどこへやら、深い悲しみに包まれてしまいました。 

3 全軍は、まるで負け戦のように、すごすごと町へ引き揚げました。

4  王は手で顔をおおい、「ああ、アブシャロム! ああ、アブシャロム、せがれや、せがれや!」と泣き叫んでいます。

5  ヨアブは王の部屋を訪ね、こう申し上げました。 「私どもは、きょう、陛下のおいのちをはじめ、王子様や王女様、奥方様や側室方のおいのちをお救い申し上げました。 それなのに、陛下は嘆き悲しんでおられるばかりで、まるで私どもが悪いことでもしたかのようです。 全く恥をかかされましたよ。 

6 陛下は、ご自分を憎む者を愛し、ご自分を愛する者を憎んでおられるようですな。 私どもなどは、どうなってもよろしいんでしょう。 はっきりわかりました。 もしアブシャロム様が生き残り、私どもがみな死にましたら、さぞかし満足なさったことでしょう。 

7 さあ、今、外に出て、兵士に勝利を祝ってやってください。 神様に誓って申し上げます。 そうなさいませんなら、今夜、全員が陛下から離れていくでしょう。 それこそ、ご生涯で最悪の事態となりますぞ。」

8-10 そこで王は出て行き、町の門のところに座りました。 このことが町中に知れ渡ると、人々は続々と王のもとへ詰めかけました。一方、イスラエルのここかしこで、論議がふっとうしていました。 「どうして、ダビデ王にお帰りいただく話をせんのか。 ダビデ王はわしらを、宿敵ペリシテ人から救い出してくださったお方だぞ。 せっかく王に仕立て上げたアブシャロム様は、ダビデ王を追って野に出たが、あえなく戦死なさった。 さあ、拝み倒してでも、ダビデ王に帰っていただき、もう一度、位についていただこうじゃないか。」 どこでも、こんな話で持ちきりでした。