出エジプト記 2:6-12 JLB

6 開けてみて驚きました。 中で赤ん坊が泣いているではありませんか。 「まあ、かわいそうに! きっとヘブル人の赤ちゃんだわ。」 王女は思わず叫びました。

7  それを見ていた姉が、この時とばかり王女のそばへ駆け寄りました。 「王女様、その赤ちゃん、お育てになりますか? だったら、お乳をあげる女がいりますよね。 だれかヘブル人の女の人を捜して来ましょうか?」

8  「よく気のつく子だね。 そうしておくれ。」 王女の返事を聞いて、少女はうれしくてたまりません。 家へ飛んで帰り、母親を呼んで来ました。

9  「お礼は十分しますから、この子を連れて行って、私の子として育ててください。」 王女は子供の実の母親とも知らず頼みました。 もう何の遠慮もいりません。 彼女は子供を抱いて家へ帰りました。

10  やがて、その子は大きくなり、養子として正式に、王女のやしきへ引き取られました。 王女は彼をモーセ〔「引き出す」の意〕と名づけました。 水の中から引き出した子供だからです。

11  それから何年かたちました。 モーセはりっぱに成長し、一人前の大人になっていました。 ある日、彼は同胞のヘブル人を訪ねようと外出したのです。 ところが、目にしたのは、あまりにもひどい有様でした。 初めて同胞の苦しみを知ったモーセの血は騒ぎました。 ちょうどその時、エジプト人がヘブル人を地べたになぐり倒しているところへ、出くわしたのです。 自分と同じヘブル人がやられている。 そう思うと見過ごせません。 

12 急いであたりを見回し、だれも見ていないのを確かめると、そのエジプト人を殺し、死体を砂の中に隠しました。