出エジプト記 5 JLB

1  長老たちとの話がすむと、二人は王に会いに行きました。 「私どもはイスラエルの神、主のお告げを持ってまいりました。 『わたしの国民を行かせよ。 荒野で聖なる祝宴を張り、わたしを礼拝させるのだ』とのことです。」

2  「ふん、そうか。 だがな、どうしてこのわしが、主とやらの言うことを聞いて、イスラエル人どもを行かせなければならんのだ。 だいたい主とは何者だ。 聞いたこともないぞ。 いちいち、そんなお告げなどに取り合っておれん。 イスラエル人どもは絶対に行かせん。」 王はきげんをそこねたようです。

3  しかし、アロンとモーセも引き下がってはいません。 「ヘブル人の神様が私どもに現われたのです。 私どもは荒野を三日行った所で、主にいけにえをささげなければなりません。 もし神様に従わなければ、病気で死ぬか、さもなくば剣で殺されるかです。」

4-5 「ええい、いいかげんにしろっ! 自分を何様だと思っているのだ。 イスラエル人どもは、それでなくとも仕事が山ほどある。 その仕事を放り出させるつもりか。 余計なことに口出しするな。」 王はどなりつけました。 

6 その日、王は腹立ちまぎれに、イスラエル人を使う監督と配下の人夫がしらたちに、命令を出しました。 

7-8 「以後れんが作り用のわらを与えてはならん。 しかも生産割り当ては一個たりとも減らすな。 荒野へ行って自分たちの神にいけにえをささげたい、などとぬかすのは、暇をもて余しているからだ。 

9 どんどん仕事をさせろ。 へとへとになるまでこき使え。 モーセやアロンのうそっぱちなどを聞いていると、どんな目に会うか、思い知らせてやるのだ。」

10-11 監督と人夫がしらは、さっそく全員に伝えました。 「王様の命令によって、これからはわらを渡さないことになった。 自分で捜せ。 ただし、れんがは前と同じだけ作るのだぞ。」 

12 たいへんなことになりました。 人々はあちこちに出かけて行って、必死でわらを集めるのでした。

13  それでも、監督は容赦しません。 「一日分の仕事は前と同じにちゃんとやれ。 言いわけは許さんぞ」ときびしく要求します。 

14 そして、イスラエル人の人夫がしらに、むちを振うのでした。 「きのうの割り当て分をちゃんと作らなかったな。 きょうも数が足りん。 怠け者めが。 命令どおりせっせと働け。」 とても無理なことをわめき散らすのです。

15  人夫がしらたちは思いあまって、王のところへ嘆願に行きました。「陛下、お願いでございます。 こんなひどい仕打ちは、もうやめさせてください。 

16 わら一本もらわず、前と同じ数のれんがを作るのは、無理な相談です。 私どもが悪いわけでもないのに、しょっちゅう打たれるのでは、かないません。 だいたい、こんな理屈に合わない仕事をさせる監督が悪いのでございます。」

17  ところが、王は取り合いません。 「いいや、おまえたちは暇すぎるのだ。 そうでなければ、『主にいけにえをささげに行かせてほしい』などとぬかすはずがない。 

18 さあ、とっとと仕事に戻れ。わらは一本も渡さん。 れんがの割り当ても減らさん。 今までどおり、きちんと持って来い。」

19  もう、どうにもなりません。 人夫がしらたちは頭をかかえ込みました。 

20 途方にくれて外へ出ると、モーセとアロンが待っていました。 二人の姿を見ると、 

21 無性に腹が立ちます。 思いっきりののしるのでした。 「王やエジプト人から、こんなひどい仕打ちを受けることになったのも、元はと言えばおまえたちのせいだ。 まるで、おれたちを殺すいい口実を与えたようなものさ。 二人とも神様のさばきを受けるがいい。」

22  モーセも気持ちがおさまりません。 神様のもとに帰って抗議しました。 「神様、どうしてご自分の国民に、こんなひどい取り扱いをなさるのですか。 私が来たのは、いったい何のためでしょう。

23 神様の命令を王に伝えてからというもの、事態はよくなるどころか、ますます悪くなるばかりです。 それなのに神様は、いっこうに救いの手を差し伸べてくださらないではありませんか。」

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