1-3 神殿に入る時は、聞き耳を立て、口は堅くつぐみなさい。 神様に軽はずみな約束をするのは罪です。 それがわからないほど、ばかになってはいけません。 神様は天におられ、私たちは地にいるのですから、口数はできるだけ少なくすべきです。 あまり忙しすぎると悪夢にうなされるように、ばかになると急におしゃべりになるものです。
4 神様に、何かをしますと誓いを立てた時は、さっそく実行しなさい。 神様は、ばかな人間をお喜びにならないからです。 神様との約束は、どんなことがあっても果たしなさい。
5 何かをしますと言いながらしないより、初めから口にしないほうがずっと良いのです。
6-7 約束を果たさなければ、口で罪を犯すことになります。神様の使者に、誓いを立てたのはまちがいでした、などと弁解してはいけません。 それを聞いて神様は腹を立て、あなたの財産を投げ捨てるかもしれないからです。 夢ばかり見ていて実行しないのは、愚の骨頂です。 意味のないことをぺらぺらしゃべると、滅びを招きます。 そんなことをしないで、神様を恐れなさい。
8 貧乏人が金持ちにいじめられ、国中で正義が踏みにじられているのを見ても、別に驚くことはありません。 どの役人にも上役がいて、その上にさらに高官がいるからです。 こうして糸をたぐっていくと、官僚政治の壁にぶつかります。
9 ところが、全体の上に王が立てられています。 もしその王が、国のために何もかもささげ尽くした王なら、どんなにすばらしいことでしょう。 そうした人物だけが、国を混乱から救えます。
10 金銭を愛する者は、決してこれで満足だということがありません。金さえあれば幸せだという考えは、なんとばかげていることでしょう。
11 収入が多くなれば、それにつれて支出も多くなります。 だから、金銭にどんな利益があるのでしょう。 指の間から漏れるのを見るのが、関の山です。
12 汗水流して働く人は、食事の多少にかかわらず、ぐっすり眠ります。 しかし、金満家は不安につきまとわれ、不眠症に悩まされます。
13-14 私はまた、ここかしこに深刻な問題があるのに気づきました。せっかくの貯金が危険な投資に使われ、子供に残す財産もなくなってしまうという現実です。
15 投機に手を出す者は、すぐさま、無一文の振り出しに戻ります。
16 これは先に指摘したように、とても深刻な問題です。 どんなに働いても、ざるで水をくむようなものであり、風をつかむようなものです。 せっかく手に入れたものが、全部なくなってしまいます。
17 その上、残る生涯を、陰気に、失意と挫折感に打ち沈み、世間を恨んで過ごすことになります。
18 こうは言っても、良いことだって、少なくとも一つはあります。生きている限りは、おいしい物を食べ、上等のワインを飲み、置かれた立場に甘んじ、与えられた仕事がどのようなものであれ、それを楽しむことです。
19-20 神様のおかげで財産家になり、そのうえ健康にも恵まれているとしたら、それこそ申し分のないことです。 仕事を楽しみ、与えられた人生に満足することこそ、神様からの贈り物です。こういう人は、神様から喜びを与えられているのですから、悲しい思いで過去を振り返る必要などありません。