5 妹だと言ったのは、あの男のほうですよ。 それに彼女自身も、『ええ、彼は兄です』と言ったんです。 私にはやましい気持ちなどみじんもありませんでした。」
6 「それはよくわかっている。 だから、おまえが罪を犯さないようにしてやったのだ。 彼女に指一本ふれさせないように、わたしが仕向けたのだ。
7 さあ、彼女を夫のもとに返しなさい。 彼は預言者だから、おまえのために祈ってくれるだろう。 そうすればおまえは助かる。 だが、彼女を返さなければ、おまえも家族の者も、いのちはないぞ。」
8 翌朝、王は早々と起き、宮殿で働く人々全員を集めました。 王から事のいきさつを聞いた人々はみな、恐ろしさに震え上がりました。
9-10 このあと、王はアブラハムを呼びつけました。 「いったいなんということをしてくれたのか。 こんな仕打ちを受ける覚えはさらさらありませんぞ。 もう少しで、私も国も、たいへんな罪を犯すところだった。 全く、あなたがこんなことをするとは……。 どうして、こんなひどいことを考えついたのか?」
11-12 アブラハムは答えました。 「実を言いますと、てっきりこの町は神様を恐れない町だと思ったのです。 『きっと、私を殺して妻を奪うだろう。』 そう思いました。 それに、あれが妹だというのはまんざら嘘でもありません。 腹違いの妹なのです。 私たちは兄弟で結婚したのです。
13 そんなわけで、神様の命令で故郷を発つ時、あれに『これからどこへ行っても、おまえは私の妹だということにしてほしい』と頼んでおいたのです。」