2 ところが、ヒビ人の部族長ハモルの息子シェケムは、ひと目見て彼女が好きになり、むりやり自分のものにしてしまいました。
3 恋心は募る一方です。 なんとか彼女の愛を得ようと、手を尽くすのでした。
4 まず父親に頼みました。 「あの娘といっしょになりたいんだ。結婚できるように話をまとめてください。」
5 事のいきさつはヤコブの耳にも入りましたが、その時、息子たちはみな群れの番をしに出かけていました。 ヤコブは、彼らが戻るまで、そのままにしておくことにしました。
6-7 ところが、シェケムの父ハモルのほうから、わざわざ出向いて来たのです。 ちょうどそこへ、ヤコブの息子たちも戻って来ました。 彼らは話を聞いて、びっくりするやら、腹が立つやらで、どうにも気持ちがおさまりません。もちろん黙って見のがすわけにはいきません。 こうなったら、妹ひとりの問題ではなく、家族全体に対する辱しめだといきり立ちました。
8 ハモルの申し出はこうです。 「今度のことは、いいかげんな気持ちからじゃありません。 息子はほんとうにお宅の娘さんが好きなのですよ。 妻にいただきたいと心から願っております。 いかがなものでしょう。 二人の結婚をお許し願えないでしょうか。
9-10 皆さんが私どもの土地に住み、お近づきになってくださったら幸いです。娘さんを嫁にいただければ、私どもの娘もお宅の若い人たちに差し上げましょう。 どこでもお好きな所に住んでください。 商売をなさってもけっこうです。 きっともうかりますよ。」