詩篇 78 JA1955

第78篇

1 わが民よ、わが教を聞き、わが口の言葉に耳を傾けよ。

2 わたしは口を開いて、たとえを語り、いにしえからの、なぞを語ろう。

3 これはわれらがさきに聞いて知ったこと、またわれらの先祖たちがわれらに語り伝えたことである。

4 われらはこれを子孫に隠さず、主の光栄あるみわざと、その力と、主のなされたくすしきみわざとをきたるべき代に告げるであろう。

5 主はあかしをヤコブのうちにたて、おきてをイスラエルのうちに定めて、その子孫に教うべきことをわれらの先祖たちに命じられた。

6 これは次の代に生れる子孫がこれを知り、みずから起って、そのまた子孫にこれを伝え、

7 彼らをして神に望みをおき、神のみわざを忘れず、その戒めを守らせるためである。

8 またその先祖たちのようにかたくなで、そむく者のやからとなり、その心が定まりなく、その魂が神に忠実でないやからとならないためである。

9 エフライムの人々は武装し、弓を携えたが、戦いの日に引き返した。

10 彼らは神の契約を守らず、そのおきてにしたがって歩むことを拒み、

11 神がなされた事と、彼らに示されたくすしきみわざとを忘れた。

12 神はエジプトの地と、ゾアンの野でくすしきみわざを彼らの先祖たちの前に行われた。

13 神は海を分けて彼らを通らせ、水を立たせて山のようにされた。

14 昼は雲をもって彼らを導き、夜は、よもすがら火の光をもって彼らを導かれた。

15 神は荒野で岩を裂き、淵から飲むように豊かに彼らに飲ませ、

16 また岩から流れを引いて、川のように水を流れさせられた。

17 ところが彼らはなお神にむかって罪をかさね、荒野でいと高き者にそむき、

18 おのが欲のために食物を求めて、その心のうちに神を試みた。

19 また彼らは神に逆らって言った、「神は荒野に宴を設けることができるだろうか。

20 見よ、神が岩を打たれると、水はほとばしりいで、流れがあふれた。神はまたパンを与えることができるだろうか。民のために肉を備えることができるだろうか」と。

21 それゆえ、主は聞いて憤られた。火はヤコブにむかって燃えあがり、怒りはイスラエルにむかって立ちのぼった。

22 これは彼らが神を信ぜず、その救の力を信用しなかったからである。

23 しかし神は上なる大空に命じて天の戸を開き、

24 彼らの上にマナを降らせて食べさせ、天の穀物を彼らに与えられた。

25 人は天使のパンを食べた。神は彼らに食物をおくって飽き足らせられた。

26 神は天に東風を吹かせ、み力をもって南風を導かれた。

27 神は彼らの上に肉をちりのように降らせ、翼ある鳥を海の砂のように降らせて、

28 その宿営のなか、そのすまいのまわりに落された。

29 こうして彼らは食べて、飽き足ることができた。神が彼らにその望んだものを与えられたからである。

30 ところが彼らがまだその欲を離れず、食物がなお口の中にあるうちに、

31 神の怒りが彼らにむかって立ちのぼり、彼らのうちの最も強い者を殺し、イスラエルのうちのえり抜きの者を打ち倒された。

32 すべてこれらの事があったにもかかわらず、彼らはなお罪を犯し、そのくすしきみわざを信じなかった。

33 それゆえ神は彼らの日を息のように消えさせ、彼らの年を恐れをもって過ごさせられた。

34 神が彼らを殺されたとき、彼らは神をたずね、悔いて神を熱心に求めた。

35 こうして彼らは、神は彼らの岩、いと高き神は彼らのあがないぬしであることを思い出した。

36 しかし彼らはその口をもって神にへつらい、その舌をもって神に偽りを言った。

37 彼らの心は神にむかって堅実でなく、神の契約に真実でなかった。

38 しかし神はあわれみに富まれるので、彼らの不義をゆるして滅ぼさず、しばしばその怒りをおさえて、その憤りをことごとくふり起されなかった。

39 また神は、彼らがただ肉であって、過ぎ去れば再び帰りこぬ風であることを思い出された。

40 幾たび彼らは野で神にそむき、荒野で神を悲しませたことであろうか。

41 彼らはかさねがさね神を試み、イスラエルの聖者を怒らせた。

42 彼らは神の力をも、神が彼らをあだからあがなわれた日をも思い出さなかった。

43 神はエジプトでもろもろのしるしをおこない、ゾアンの野でもろもろの奇跡をおこない、

44 彼らの川を血に変らせて、その流れを飲むことができないようにされた。

45 神ははえの群れを彼らのうちに送って彼らを食わせ、かえるを送って彼らを滅ぼされた。

46 また神は彼らの作物を青虫にわたし、彼らの勤労の実をいなごにわたされた。

47 神はひょうをもって彼らのぶどうの木を枯らし、霜をもって彼らのいちじく桑の木を枯らされた。

48 神は彼らの家畜をひょうにわたし、彼らの群れを燃えるいなずまにわたされた。

49 神は彼らの上に激しい怒りと、憤りと、恨みと、悩みと、滅ぼす天使の群れとを放たれた。

50 神はその怒りのために道を設け、彼らの魂を死から免れさせず、そのいのちを疫病にわたされた。

51 神はエジプトですべてのういごを撃ち、ハムの天幕で彼らの力の初めの子を撃たれた。

52 こうして神はおのれの民を羊のように引き出し、彼らを荒野で羊の群れのように導き、

53 彼らを安らかに導かれたので彼らは恐れることがなかった。しかし海は彼らの敵をのみつくした。

54 神は彼らをその聖地に伴い、その右の手をもって獲たこの山に伴いこられた。

55 神は彼らの前からもろもろの国民を追い出し、その地を分けて嗣業とし、イスラエルの諸族を彼らの天幕に住まわせられた。

56 しかし彼らはいと高き神を試み、これにそむいて、そのもろもろのあかしを守らず、

57 そむき去って、先祖たちのように真実を失い、狂った弓のようにねじれた。

58 彼らは高き所を設けて神を怒らせ、刻んだ像をもって神のねたみを起した。

59 神は聞いて大いに怒り、イスラエルを全くしりぞけられた。

60 神は人々のなかに設けた幕屋なるシロのすまいを捨て、

61 その力をとりことならせ、その栄光をあだの手にわたされた。

62 神はその民をつるぎにわたし、その嗣業にむかって大いなる怒りをもらされた。

63 火は彼らの若者たちを焼きつくし、彼らのおとめたちは婚姻の歌を失い、

64 彼らの祭司たちはつるぎによって倒れ、彼らのやもめたちは嘆き悲しむことさえしなかった。

65 そのとき主は眠った者のさめたように、勇士が酒によって叫ぶように目をさまして、

66 そのあだを撃ち退け、とこしえの恥を彼らに負わせられた。

67 神はヨセフの天幕をしりぞけ、エフライムの部族を選ばず、

68 ユダの部族を選び、神の愛するシオンの山を選ばれた。

69 神はその聖所を高い天のように建て、とこしえに基を定められた地のように建てられた。

70 神はそのしもべダビデを選んで、羊のおりから取り、

71 乳を与える雌羊の番をするところからつれて来て、その民ヤコブ、その嗣業イスラエルの牧者とされた。

72 こうして彼は直き心をもって彼らを牧し、巧みな手をもって彼らを導いた。