1 遠い国々の皆さん、私の言うことを聞きなさい。 神様は生まれる前から私に目をかけ、母の胎内にいた時から私を名ざしで呼びました。
2 神様は私のさばきのことばを、剣のように切れ味するどくします。 秘密兵器のように、私を御手の中に隠しました。 私はちょうど、神様の矢筒の中にある、先のとがった矢のようです。
3 神様は私に告げました。 「おまえはわたしのしもべだ。 神の力を授かった王子として、わたしのすばらしさを示す。」
4 「おことばですが神様、私のこれまでの仕事はみな失敗に終わりました。 すっかり力を使い果たしましたが、何の手ごたえもありません。 どうぞ、おこころのままに報いてください。」
5 ところが、神様の国民イスラエルを立ち返らせる使者として、私を母の胎内で形づくり、この仕事を成し遂げる力を与え、私を特別扱いしてくださった神様は、さらに告げたのです。
6 「おまえはイスラエルをわたしに立ち返らせる以上のことをする。 国々の光となって、外国にまでわたしの救いをもたらす。」
7 イスラエルのきよい神様である救い主は、さげすまれている者、のけ者にされている者、支配者の足もとにうずくまる者を慰めます。 「おまえが通ると、王は立ち上がって敬意を表わす。 わたしがおまえを選んだので、地方長官は深々と頭を下げる。 イスラエルのきよい神であるわたしが、おまえを選ぶのだ。」
8-9 神様はまた、こうお語りになります。 「おまえは、ちょうどよい時に願い事をした。 わたしはまだ危害が及ばないうちからおまえを守り、イスラエルへの約束のしるしを与える。 わたしが国を再建し、そこに人を住まわせるという証拠だ。 わたしはおまえの口を借りて、暗やみの中に閉じ込められた囚人に、『さあ、出て来い。 おまえたちはもう自由だ』と語りかける。 彼らはわたしの羊となり、緑の牧草地と青々とした丘で草を食べる。
10 ひもじくなることも、のどが渇くこともない。 こげつくような太陽も、焼けるような砂漠の風も、二度と害を与えない。 わたしが彼らを思いやり、冷たい水のわく所へ連れて行くからだ。
11 わたしは彼らのために、山々を平らな道とし、谷の上高く幹線道路を通す。
12 わたしの国民は遠くから、北、西、南から帰って来る。」
13 天は喜んで歌いなさい。 地は歓声をあげなさい。 山々は歌声を響かせなさい。 神様が、悲しみに沈んでいたイスラエルをやさしく慰めるからです。
14 ところが、あなたがたは言います。 「神様は私たちを見捨て、私たちをお忘れになった。」
15 「そんなはずはない。 母親がわが子を忘れ、愛さなくなることがあるだろうか。 だが、たといそんなことがあっても、わたしはおまえを忘れない。
16 わたしはおまえの名をてのひらに入れ墨した。 わたしの目の前にはいつも、くずれたエルサレムの城壁がちらついている。
17 もうすぐ、おまえを再建する者が来て、滅ぼした者どもをおまえのところから追い払う。
18 さあ、よく見ろ。 敵は一人残らずおまえの奴隷になる、と誓おう。 彼らはおまえにとって、陳列棚に飾る宝石や花嫁の装身具のようになる。
19 だれもが愛想をつかした、いちばん荒れた土地でさえ、まもなく人々でごった返すようになる。 おまえを奴隷にした敵は、はるかかなたに遠ざかる。
20 異国に捕らわれていた時に生まれた者は帰って来て、『もっと部屋が欲しい。 ここは狭すぎる』とこぼす。
21 その時、おまえは心の中でつぶやくだろう。 『こんなにたくさんの子供を下さったのは、いったいだれだろう。 大半は殺され、残りは捕虜として遠くへ連れて行かれ、私だけここに残ったというのに……。 だれがこの子たちを産み、育ててくれたのだろう。』」
22 神様はこうもお語りになります。 「わたしが外国人に合図すると、彼らはおまえの幼い息子たちをおまえのふところに連れ戻し、娘たちを肩に載せてやって来る。
23 王や王妃はおまえに仕え、行き届いた世話をしてくれる。 彼らは土下座し、おまえの足についたちりをなめる。 その時おまえは、わたしが神であることを知る。 わたしに望みをかける者は、決して恥をかかない。」
24 腕力の強い者の手から、だれが、奪い取られたものを取り戻せるでしょうか。 泣く子も黙るこわい王に、だれが、捕虜を自由の身にしてやれと命令できるでしょうか。
25 しかし神様は、きっぱり宣言なさいます。 「名前を聞くだけで震え上がる残忍な王の捕虜になった者でも、一人残らず釈放される。 わたしはわたしと戦う者と戦い、おまえの子供たちを救い出すからだ。
26 おまえの敵には自分の肉を食べさせる。 彼らはしたたり落ちる自分の血を飲んで酔う。 こうして世界中の者が、主であるわたしがおまえの救い主であり、イスラエルの強い神であることを知る。」